「寄り添い方」ハンドブック

一般社団法人がんチャレンジャーより『~がん罹患者にかかわる方必携~「寄り添い方」ハンドブック』を贈っていただいた。
がん治療関係の無料冊子はたくさん出ているが、「寄り添い方」に特化した内容の冊子(ブックレット)は珍しい。

68ページの冊子なので、早速読ませていただいた。
執筆者の花木裕介氏は中咽頭がんのサバイバーであり、がんサバイバーの気持ちをしっかりと掴んでいる。
「自分にとって良いことは罹患者にとっても良いことのはず」というエゴともいえる思い込みがいかに多いことか、この冊子を読んで嫌というほど思い知らされる。
罹患者は先輩罹患者のノウハウや経験を聞いてくるケースもあれば、アドバイスが欲しいのではなく「ただ気持ちや状況を聞いてほしいだけ」という場合もある、という指摘には納得させられる。
さまざまな「寄り添い方」のケースが紹介されていて非常に役に立つ冊子である。
もう一つこの冊子が素晴らしいのは、一人1ページずつのコラムであるが、9人のがんサバイバーから寄り添われた体験談が寄稿されている。その全てで「なるほど!」と気づかされる体験が語られていることだ。
この冊子の入手方法は、一般社団法人がんチャレンジャーのホームページを参照のこと→ https://www.gan-challenger.org/


ところで、執筆者の花木裕介氏は、闘病記『青臭さのすすめ ~未来の息子たちへの贈り物』(平成31年1月31日、はるかぜ書房刊)を出版されている。
父親が息子たちへ語りかける文体で進む闘病記で、やはり患者心理というものが良く分かる内容だ。
病気になって多くの人が思う「当たり前のことが有り難い」を強く実感させる。
本の作りにやや難があるが、治療や副作用についてもしっかりと書かれてあり、がんサバイバーやその家族、医療従事者には一読の価値はあると思う。